「達成する文化と挑戦する文化」会社の文化はどう作る?

「達成文化を作るのはいいんですけど、達成を目標とするとリーダーシップが落ちてくるんですよ」

アーラリンク会社の歴史編3話目は、「誰でもスマホ」立ち上げのお話。
最初はスマホのレンタルサービスとして動いていたアーラリンク。しかし「お客様にはレンタルではなく自身でスマホを持ってもらいたい」と考えていた高橋さんは「でも、自分たちには技術的に難しい」と思い込んでしまい。
競合に先を越されてしまった苦い思い出が…。
この遅れを取り戻すために、急いで準備し立ち上げたのが「誰でもスマホ」その創設秘話と設立までのスピードをぜひお楽しみください。

文化作りの難しさ

「文化作りって苦手なんですよね」
僕は昔からそう思っていました。文化って、意識して作るものじゃなくて、自然に生まれるものじゃないですか? 日本人が礼儀正しいとか、綺麗好きとか、僕ら自身が常に意識してやっているわけじゃないですよね。でも、組織を運営していく中で、文化はどうやって作られるのか、どう作るべきなのかを考えないといけない。
だから今回は、僕が今考えていることを話そうと思います。これは数年後の僕が聞いたときに「あのときこういうことを考えてたんだな」と振り返るための記録でもあるし、社員のみんなにも「昔はこんなこと考えてたんだな」と伝わるといいなと思ってます。

挑戦文化より達成文化の方がいいのでは?

「挑戦の文化」ってよく言われるじゃないですか。僕もこれまでそういう考えでやってきました。失敗しても挑戦し続ける。で、いつか達成したときに「やった!」って爆発する。でも、最近それがあまりフィットしてないんじゃないかと思うようになったんです。
挑戦文化は、リバウンドメンタリティが前提にあるんですよね。挑戦して、失敗して、でもまた立ち上がるっていう。その精神力に頼ってる部分が大きい。でも、これって個人の特性に委ねすぎているんじゃないかと思ったんです。
特に最近、うちの会社には20代のメンバーが増えてきたんですが、彼らって全体的に「自信がない」傾向がある。僕も文献を読んだり、実際に話をしていて感じるんですが、今の若い世代って、やたらと不安を抱えてる人が多いんですよね。

Z世代はなぜ自信がないのか?

「自信がない人が多い」って話、聞いたことありませんか? 僕の周りでもそう感じることが多くて、これって何が原因なんだろうって考えたんですよ。
僕の仮説では、インターネット、特にSNSの影響が大きいんじゃないかと思ってます。僕が大学を卒業する頃って、まだSNSはそこまで普及してなかったんですよ。だから、人と比べる機会がそんなになかった。でも、今の若い子たちは、中学や高校の頃からSNSが当たり前にある。
SNSって、人との比較を加速させるじゃないですか。しかも、普通の人じゃなくて、とんでもなくすごい人が目に入りやすい。「同い年なのにこんなに活躍してる人がいる」とか、「フォロワーが何万人もいる」とか。そういう環境にずっとさらされてると、自分に自信が持てなくなるのも当然なのかなって。
昔だったら、比較するのはせいぜい身近な友達くらいだった。でも今は、世界中の「すごい人」と簡単に比べられてしまう。その結果、「自分なんて大したことない」って思っちゃう人が増えてるんじゃないかと思うんです。

達成文化を取り入れるべき?

この「自信がない世代」に対して、挑戦文化ってうまく機能しないんじゃないかと思うんです。自信がないのに、いきなり大きな挑戦をさせても、余計に不安になるだけですよね。だから、達成文化を作った方がいいんじゃないかと考え始めました。
達成文化っていうのは、小さな成功を積み重ねて、自信をつける仕組みです。挑戦の文化って、「大きな目標を掲げて、それに向かって頑張ろう!」っていうスタイルですけど、達成文化は「できることを少しずつ増やしていこう」っていう考え方。
ただ、ここでひとつ問題があるんですよ。達成文化を重視すると、リーダーシップが落ちてしまう。なぜかというと、達成を軸にすると、「できることを積み上げる」発想になるからです。挑戦文化は「もっと高いところを目指そう」という考え方なので、自然とリーダーシップが発揮されやすい。でも、達成文化に寄せると、「確実にできること」を選ぶようになるので、挑戦的な姿勢が弱まるんですよね。

リーダーシップは育成できるのか?

最近、管理者とリーダーの違いについても考えているんです。管理者は教育で育てられる気がする。でも、リーダーってポテンシャルなのかもしれないなって。
僕自身の話をすると、高校時代にクラスメイトから「お前は将来社長になるよ」って言われてたんですよ。別に自分ではリーダーシップを発揮してるつもりはなかったんですけど、周りからそう見られてたみたいです。こういうのって、後から身につけられるものなのか、それとも元々持ってる資質なのか、すごく興味があるんですよね。
管理者は、研修や教育で育てられる。でも、リーダーはどうなんでしょう? 使命感とか、劣等感とか、そういうものに突き動かされる部分が大きい気がするんですよね。だから、教育でリーダーを作るのって、実は難しいんじゃないかと。

組織文化とリーダーシップの関係

僕が今考えているのは、組織の文化をどう作るか、リーダーシップをどう育てるかということです。部門ごとの文化を作るのも大事だし、個人のリーダーシップを引き出す仕組みを考えるのも重要。
ただ、今のやり方がベストかどうかはわからない。だからこそ、組織論やリーダーシップについての本を30冊くらい買って、勉強しようと思ってます。
僕自身、まだ試行錯誤の段階です。でも、こうやって考えていることを言葉にすることで、整理できるし、あとで振り返ったときに「このときはこう考えてたんだな」って確認できますよね。
これからも、組織をどう成長させていくか、考え続けていこうと思います。