【後編】大事なことは、成功するまで諦めない!「誰でもスマホ」創設秘話!
「厚労省にプレゼン行ったら、まさかの15〜16人の偉い人たちがいて、こっちは “え、こんなに!?” ってなったんですよね(笑)」
コロナ禍を経て転機となった「誰でもスマホ」行政・厚労省・財務省…様々な機関と連携するためにつくった「携帯会社リスト」これでうまくいくと思いきやそこからも苦難が…
大事なのは「成功するまで諦めないこと!」
- 目次
- 成功するまで続ける、それが絶対の方法
- 企業家魂V2 〜厚生労働省とつながるには?〜
- 人間魚雷戦法で厚生労働省と接触
- 厚生労働省でのプレゼン、絶対に伝えたかったこと
- 総務省を巻き込んで、大手キャリアを動かす
- 競合に奪われるリスクと社会貢献の狭間
- 制度を作るだけではダメ。認知されるまでの戦い
- 成功するまで続ける、それが絶対の方法
成功するまで続ける、それが絶対の方法
高橋翼です。今回のエピソードでは、前回に引き続き、「どうしてそれが成り立ったのか?」について語ります。
企業家魂V2 〜厚生労働省とつながるには?〜
僕は、厚生労働省の名前が入らないとダメだなと思っていたんですが、当然、厚労省に知り合いがいるわけがない。じゃあ、どうやって彼らとつながって、この問題を訴え、動かしていくか。
「企業家魂V1」は、とにかく訪問。12件回ってダメなら諦めるというのが普通の感覚ですが、僕はそれをやめませんでした。成功するまでやる、というのが「企業家魂V2」です。
V2のアプローチとして、厚生労働省の人が喋っている場に行くことを考えました。彼らが出席する説明会やイベントにとにかく足を運び、「自分はこういう問題意識を持っています」と直接伝える作戦です。2019年からこの活動を始めて、新聞に取り上げてもらうことも意識し始めました。
人間魚雷戦法で厚生労働省と接触
とにかくぶつかっていく、人間魚雷戦法。厚労省の人がいそうなイベントに行っては話しかけ、問題意識を伝え続けました。すると、ある日ついに、厚生労働省から会社に電話がかかってきたんです。「携帯電話の件で話を聞きたい」と。
これは、人間魚雷戦法の成果なのか、それともこれまで訪問してきた区役所の人たちが僕のことを報告してくれたのかはわかりません。でも、どこかで誰かが見ていて、つながったのは間違いありませんでした。
厚生労働省でのプレゼン、絶対に伝えたかったこと
せっかくのチャンスなので、新卒1年目の社員と一緒に厚労省へ行くことにしました。でも、彼に「どんな準備をしている?」と聞くと、「サービスの説明をしようと思っています」とのこと。
それを聞いて、僕は「違う!」と思いました。これは単なるサービス紹介ではなく、僕がずっと温めていた「リストを作る」というアイデアをぶつける場なんです。せっかく呼んでもらったのに、ここでプレゼンしなかったら二度とチャンスはないかもしれない。
急いでプレゼン資料を作り直し、いざ厚生労働省へ。すると、想像以上に大勢の関係者が待っていました。生活保護を担当する部署や、生活困窮者支援を行う部署の部長クラスを含め、15〜16人が参加してくれたんです。僕はそこで、「リストを作れば、紙一枚で解決できる」と提案しました。お金はかからないし、すぐにできる。これは絶対にやるべきだと伝えました。
総務省を巻き込んで、大手キャリアを動かす
そこのリストを機能させるには、携帯電話会社の協力が不可欠。でも、僕らのような小さな会社が「やりましょう!」と言ったところで、大手が動くわけがない。
そこで、厚労省から総務省へと話をつなぎ、総務省が携帯電話会社を集める形を作りました。
コロナ禍の影響もあり、オンラインでの会議が開催されました。そこには30〜40社の携帯電話会社が参加。
僕はそこで、「このリストを作ることで生活に困っている人が助かるので、協力してほしい」と訴えました。
競合に奪われるリスクと社会貢献の狭間
このリストができれば、僕らの競合も同じようにビジネスチャンスを得ることになります。自分たちが苦労して開拓した道を、後から来た企業に取られる可能性もある。
でも、それを恐れていたら、結局、社会にとって良いことは実現しない。僕は、「社会にとって何がベストか?」を考え、
このリスト作成に踏み切りました。幸い、イオンモバイルさんが最初に手を挙げてくれたことで、リストの信頼性が一気に高まりました。
もし、無名の企業しか手を挙げていなかったら、リストが世に出ることはなかったかもしれません。
制度を作るだけではダメ。認知されるまでの戦い
リストが完成し、厚労省から全国の自治体へと情報が流れました。でも、すぐに結果が出たわけではありません。通知が届かない自治体もあれば、担当者がその情報を見てもスルーしてしまうケースも多かったんです。
「これはヤバい」と思い、再び全国の福祉課を訪問。「この制度、知ってますか?」と確認し、認知度を上げるための活動を続けました。最初は2〜3割の自治体しか把握していなかったのが、厚労省に追加の通知をお願いしたことで、徐々に浸透していきました。
成功するまで続ける、それが絶対の方法
この経験を通じて学んだのは、「成功する絶対の方法は、成功するまで続けること」。どれだけ準備していても、最初の一歩でうまくいくとは限らない。でも、諦めずに続ければ、必ずどこかで道が開ける。
僕自身、この取り組みを振り返ると、「ゴールを明確に持ち、そこに向かって突き進むこと」がいかに大事かを実感しました。仮説を立てて試すだけではなく、どうやって実現するかまで考え抜く。それが、人を巻き込み、社会を動かす力になるんだと思います。